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第十九回文学フリーマーケット

文学フリマは文学フリマのまま正式名称であって、文学フリーマーケットなどと称する催しは存在しないことになります。それにアルファベット表記が「bunfree」であることでも有名で、誰もが指摘したくなるその点に就ては公式サイトの FAQ にてわざわざ封じてあるほどですが、そう深く気にせず、入場料がフリーなのだから、とでも考えれば良かろう。そのような催しが、十一月二十四日、行われました。

平野はいつもの習慣として、会場設営から参加しました。

肉体労働です。山と積まれた状態の折畳み机を台車から下し、並べ、山と積まれた状態のパイプ椅子を台車から下し、並べ、という、さほど重労働でもない単純にして他愛のない作業ですがこれが案外、本気でやると、肉体は汗だくとなります。

朝っぱらから汗迸らせて躍動する肉体。これはなかなか結構なもので、清々しい心地がいたします。朝のラジオ体操を本気でやってハアハアするようなものか。譬えが不適切かしらん。そのように汗だくになることが従来の肉体経験で判っていたから、このたび平野は初めて、着替とタオルとを抜かりなく用意して行ったものです。

尤も、そんな湯気立つほどの勢いで肉体を使役するのは当方の身勝手であって、どなたかが「この時間でこれなら余裕、皆さん早過ぎ」との旨を口にしておられました。今回は肉体の数がかなり潤沢でもあったようです。今後、開場設営に参加してみようかしらんとお考えの紳士淑女の皆様におかれては、参加に当って、着替だのタオルだの仰々しい肉体上の構えは要らぬものとご承知あれ。平野が自分勝手に道楽のようにしゃかりき肉体酷使しただけのことです。

全力ラジオ体操的な肉体のひとときを済ましたら、午前十時を以てサークル入場開始、午前十一時の一般開場までの六十分間と知恵と肉体とを使って、ブース設営の時間となります。そろそろいい加減に肉体は影を潜めることにして、ひたすらブースを作り上げます。

このとき、まず何よりも懸念でどきどきするのは、現場搬入の段ボール箱が無事に届いているか否か。

全くこれが心配で心配で仕方なく、自分のブースにいそいそと小走りに駆寄り机の下に目をやって、然るべく箱がつくねんと鎮座していると見て取ること、そして慌ててガムテープをひっぺがし、中を覗き込むこと。これをやって初めて一安心ということになります。

新刊を現場搬入とした場合なんか、事は極めて重大です。カタログには掲載している、ブログで告知している、ツイートは拡散して貰っている、フェイスブックでも何だかよく判りませんがとにかく何かを云い触らしてある。その新刊が、ないとしたら。

つねづね平野は、郵便という現象に深甚なる驚異の念を覚える者です。ぺらり、あんなにも頼りない葉書と称する紙っ切れ一枚が、なぜ、例の赤い箱に無造作に抛り込むだけで、正しく届くのか。つい風で飛んだり、つい袋の底に貼付いていたり、つい亜空間消滅したり、しないものだろうか。

杞憂と嗤われようともやはり、驚異は驚異です。それに杞憂などと云っては郵便屋さんへの侮辱に他ならない。事故を防ぐために、どれほどのシステム的配慮がこつこつと重ねられて来たことか、その歴史の歩みを及ばずながら察することができます。

郵便に限らず、黒毛のねこ、飛脚、顎のたぷたぷした鳥その他においても同じことです。今回まさしく新刊を現場搬入しました。仮にも、もしも、それが何かの手違いで届いていなければ、最新刊「文芸誌窓辺 第四号」はめでたく午前十一時の瞬間を以て完売御礼という断り書きを置かねばならぬ羽目に陥ります。

ああ安心した。

恙なく届いていました。筒がない! これじゃ飾りができないよどうしよどうしよ、と悲痛な叫びを上げるサークルさんがどこかにあったような気がするらしく思えなくもないかも知れないと考えられますが、ともあれ「窓辺」は平穏無事でした。
 
| 平野智志 | 22:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
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